ボトックスQ&A 患者さんから聞かれる質問

<ボトックスとは?>

Q.ボトックスとは何ですか?

A.ボトックスとは、A型ボツリヌス毒素を精製して作られた製剤で、アラガン社のボトックスビスタ®️はその一つです。粉状の製剤を生理食塩水で希釈し、治療部位に注射します。この製剤は神経伝達物質アセチルコリンの放出を神経終末で阻害し、筋肉の動きを抑えてしわを軽減し、汗の分泌を抑制します。

 

Q.ボトックスはどこの病院で打っても一緒ですか?

ボトックスの効果や副作用は、医師の技術や注射方法によって異なります。当院では、患者さんのしわの状態に応じて注射部位や量を調整し、2〜4週間後に細かい調整を行い、治療結果を記録して次回の治療に役立てています。一人一人の筋肉のつき方や表情のクセに合わせて治療を行うことが重要です。

 

Q.ボトックスには色々な種類があるのですか?

A.ボトックスと呼ばれる製剤は多く存在しますが、日本国内で美容医療目的で使用できるのは、アラガン社のボトックスビスタ®️のみです。他にFDA承認を受けている製剤として、ディスポート(イギリス)、ゼオミン(ドイツ)などがあります。

Q.ボトックスビスタ以外の製品に問題がありますか?

A.ボトックスビスタ以外にも、海外で安全性が確認されている製剤は多数あります。しかし、これらの製剤は医師の裁量で個人輸入されているため、安全性や信頼性については各医師に確認する必要があります。当院では、安全性と信頼性の観点から、国内で唯一承認されているボトックスビスタ®️のみを使用しています。

 

Q.ボトックスは製剤によって効果が違いますか?

A.はい。製剤によって効果の持続時間や抗体産生のリスクが異なります。しかし、製剤の違いよりも、使用する量や施術方法の違いの方が効果に大きく影響を与えます。医師の技術や経験が重要ですので、信頼できるクリニックでの施術をおすすめします。

Q.ボトックス注射でボツリヌス中毒になることはありますか?

A.ボトックス注射では、ボツリヌス菌そのものではなく、精製されたA型ボツリヌス毒素が使用されます。注射される量はごく少量で、効果は限られた範囲にのみ現れるため、ボツリヌス中毒のリスクはありません。

Q.ボトックスは毒ですか?

A. ボトックスは精製された毒素ですが、治療に使用される量はごく微量で、安全です。毒素としての歴史もありますが、適正使用においては薬として機能します。過剰摂取で毒となるのは全ての薬に共通することです。

 

Q.ボトックス注射でしわが改善するのは何故ですか?

A.ボトックスは神経筋接合部に作用し、筋肉の動きを緩めることで、表情筋が動いたときにできるしわを改善します。また、表情を作ることによって刻まれるシワが次第に深くなるのを防ぐ作用もあります。

 

Q.ボトックス注射で汗が止まるのは何故ですか?

A.ボトックスはアセチルコリンの放出を阻害し、汗腺の働きを抑制することで発汗を抑えます。

<当院のボトックス治療についての質問>

Q.美肌ボトックスとは何ですか?

A.美肌ボトックスは、ボトックスを浅い層に細かく注入する技術です。小じわや凹凸を目立たなくし、肌の質感を整える効果があります。また、毛穴開きや過剰な皮脂分泌、発汗を抑え、化粧崩れを防ぐ効果もあります。

 

<ボトックス処置についての質問>

Q.痛いですか?

A.痛いです。冷却しながら極細の専用針で丁寧に注入しますので、たいていの方は我慢できますが、痛みが心配な方には塗る麻酔もご用意しています。

 

Q.治療時間はどれくらいですか?

A.注射自体は数分から10分程度で終了します。部位や範囲により異なります。

 

Q.ボトックスはどの位の期間、効果が持続するのですか?

A.効果は処置して数日後から現れ、約3~4ヵ月持続します。表情クセが取れることで、効果の持続をさらに長く感じることもあります。また、咬筋などでは4〜6ヶ月ごとに複数回、続けて注射すると、筋肉の大きさ自体が小さくなる効果もあります。

 

<ボトックスの安全性・副作用・問題点についての質問>

Q.ボトックス注射は妊娠中・授乳中・妊活中でもできますか?

A.妊娠中・授乳中の安全性は確認されておらず、避妊が推奨されています。妊活中の方も控えることをお勧めします。女性は最終投与後2回の月経終了まで、男性は投与中及び最終投与後少なくとも3ヶ月は避妊するようにと言われています。

 

Q.副作用はありますか?

A.ボトックスは筋肉の力を緩める作用があるため、注射した部位とその周囲の筋肉のバランスが崩れると様々な問題が出ることもあります。例えば、額のボトックスでは「まぶたが重い」という症状が出ることがあります。これは、眉毛を持ち上げる筋肉(前頭筋)が緩みすぎたことによって起きる問題です。

ボトックスはシワを取る注射でなく、筋肉を緩める注射であるため、効きすぎるとこうした不具合が出ることもあります。当院では、そうした不具合がなるべく出ないようにするため、慎重に治療適応を見極めると共に、まずは少量から注射して、2〜4週後に必要に応じて調整(タッチアップ)をお勧めしています。

 

Q.以前他院で額のボトックス注射をした後、眉が下がってしまったのですが・・・。

A :ボトックスは筋肉を緩める注射であることから、筋肉のバランスにより、眉毛の角度や高さが若干変わることがあります。当院では、その方の顔立ちにあわせ、注射の量やポイント、深さを変えて慎重に治療しています。

また、状態に応じて、ボトックス以外の治療やヒアルロン酸の併用治療をお勧めすることもあります。

 

Q.何回も続けて注射しても大丈夫?

A.短期間に大量のボトックスを打つと、抗体産生のリスクが高まると言われています。

顔の表情じわに用いられるくらいの量であれば、続けて注射しても抗体産生リスクは低い(0.5%未満)と言われています。

Q.エラ(咬筋)ボトックス注射で、食べにくくなることはありませんか?

A.通常の食事に困ることはありませんが、 とても硬いものを噛む時に顎が疲れることや、硬いものを噛んだ後で側頭部(こめかみ)が痛むことは稀にあります。

 

Q.エラボトックス注射で、顔が弛む(タルむ)ことはありませんか?

頰の痩せ(頰コケ)が目立つ方や頬骨の張りを気にしている方では、エラ(咬筋)が小さくなることで、頰痩せや頬骨がさらに強調されて見えることはあります。

また、咬筋が小さくなることで、皮膚が余ってたるみが目立つように見えることもあります。

特に、30代後半以上の方は治療前に医師とよくご相談ください。エラボトックス=小顔ボトックスと言われますが、小顔になっても「若見え」するとは限りません。

 

<ボトックスを打った後に聞かれる質問>

Q.ボトックスを打った後、何か気をつけることはありますか?

A.ボトックスを打った直後(数時間以内に)に美容鍼、ヒアルロン酸注入、温熱治療、強いマッサージをすることは避けてください。

その他の日常生活の制限は特にありません。当日より洗顔、お化粧・入浴・飲酒などが可能です。

 

Q.ボトックスを打った後、治療の跡は残りますか?

A.ボトックス注射直後は針跡がわずかに赤くなることや、注射後の膨らみ、また一部皮下出血が出ることはあります。赤みと膨らみは数時間で改善しますが、皮下出血斑は7日程度残ることがあります。この場合は、メイクなどで隠してください。

 

Q.ボトックスを打った後、腫れることはありますか?

A.直後に軽い膨らみが出ることがありますが、腫れが続くことはありません。

 

Q.次の日から仕事はできますか?

A.治療翌日はまれに皮下出血が出ることがありますが、メイクでカバーできる範囲です。殆どの方が、施術後すぐに仕事に戻ることが可能です。

 

<ボトックスとヒアルロン酸注射についての質問>

Q.どのようなシワに効果がありますか?

A.表情筋の動きで出来るシワ(特に眉間のシワや、目尻のカラスの足あとなど)に効果的です。 すでに刻まれているしわには効果が期待できません。

すでに刻まれているシワには、ヒアルロン酸などの注入剤と組み合わせた治療が効果的です。

 

Q.ボツリヌス注射とヒアルロン酸の違いはなんですか?また、オススメはどちらですか?

A.ボツリヌス注射は、筋肉の働きを弱める作用がある注射で表情筋に伴うシワに効果があります。例えば、眉毛をぐっと寄せた時に深くなる眉間のシワや、笑った時に深くなる目尻のシワにはボトックスが有効です。

ヒアルロン酸は、ボリュームが低下した部分や、シワの凹みやくぼみに注入することができます。例えば、ほうれい線や口周りのシワ、額のへこみ、リフトアップにはヒアルロン酸が有効な場合が多いです。

 

Q.ヒアルロン酸注射やレーザーを同じ日にできますか?

A.多くの場合、ボトックスはヒアルロン酸注射やレーザー治療と同じ日に治療を行うことが可能です。施術の内容や範囲によっては、できない場合がありますので、詳細はクリニックにお尋ねください。

 

<その他よく聞かれる質問>

 

Q.表情じわは何歳から治療するのが良いですか?

A.20代後半になると、徐々に肌の弾力が減ってきて、表情じわが皮膚に線として刻まれやすくなります。30代になると、さらに肌の弾力を保つ成分が減るため、表情を作らない状態でも、額や目尻の表情しわが皮膚に刻まれてきます。こうした表情しわが刻まれる前(30代〜)に治療をスタートすることをお勧めしています。

ただし、すでにしわが刻まれてしまった方や、さらに上の年代でも手遅れということはありません。ボトックスはそれ以上しわが深くなることや、新たなしわができるのを予防できます。また、すでにしわが刻まれてしまった方でも、他の治療と併用することで改善が可能です。

 

Q.ボトックス注射を始めたら、ずっと続けなければいけませんか?

A.「一度始めるとずっと続けないといけないからボトックス注射には抵抗感がある」という方がいらっしゃいますが、ボトックス注射は1回打ってみて、その後やめても問題はありません。施術したことで老化が加速する、受け続けなければ何か問題が起きる、といったことはありません。もとの筋肉の状態に戻るだけです。

ただ、ヘアスタイルでも良い状態をキープするには、定期的にカットやカラーなどのメンテナンスが必要であるように、ボトックスでも効果を気に入って維持させたいと思う方は定期的に(4〜6ヶ月毎に)治療を繰り返すのがおすすめです。

一度打っただけで、永遠に若返るという魔法の注射はありません。(2024年7月現在)

 

Q:「シワ、タルミの予防効果はありますか?

A:はい、ボトックスにはシワの予防効果があります。表情を作ることで深くなるシワに対して、ボトックスは効果的です。双子を対象にした研究でも、ボトックスを使用している方が明らかにシワが少ないという結果が出ています。これらの研究から、ボトックスがシワの予防に有効であることが示されています。

 

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西田美穂

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